(記者)
静岡新聞と申します。すみません、ちょっと話が戻って恐縮なんですけども、知事の割と冒頭の方の発言で、山梨県の早川町の辻町長がですね、この案が、田代ダム案の関係で、電源立地交付金が、発電量が減ることで、交付金が減少すれば、それをJR東海の当時の金子社長が補償する発言をしたっていうことについては水利権の目的外使用と捉えるっていうふうにおっしゃって、知事が先ほど。しかし、国土交通省の方では、これは目的外使用に当たらないと言っていて、グレーであると思ってるっておっしゃったんですけど、グレーであるっていうのは、これは誰が誰に対して、グレーとおっしゃってるのでしょうか。
(知事)
国交省の見解に対してグレーであると思っております。
(記者)
その知事は、この一連の、何ですか、お金のやりとりというか電源立地交付金が減ることについて、JR東海が保証するっていうことについては、これは水利権の目的外使用に当たるっていうふうに捉えてらっしゃるっていう。
(知事)
そういうふうに国交省が言っています。
(記者)
それを、国交省は目的外使用が当たらないって言ってると思うんですけど。
(知事)
目的外使用には当たらないって言ってるわけですね。
(記者)
でも知事は目的外使用に当たると。
(知事)
当たる可能性があるのではないかと。お金が動くわけですから、補償金が。それにも関わらず、これは目的外使用ではないというふうに国交省はおっしゃってるわけですね。その理屈は通るか通らないのか、私のような素人にはちょっとすっとは落ちないです。
(記者)
そうするとこの金銭のやりとりというか、この行動が目的外使用に当たると知事が思ってらっしゃるとすると、あの当然ながら、JR東海が取水抑制をお願いした分を金銭的に東電に対して補償するっていう行為についても、目的外使用に当たるっていうふうに、知事の理屈から言う思われると思うんですけど。
(知事)
断定してません。懸念があると。今日は僕の信頼する天野くんが来てる。君、何か意見がありますか、この点について。
(天野経営管理部参事)
経営管理部参事の天野でございます。水利権の問題はですね、当初から話がありまして、ちょっと私も今、いきなりの御指名でちょっとあれなんですけども。皆さんも御存知の通り、自然流下で河川の水を流すときは、別に水利権に関わらない話ですね。ですからそこは問題ありませんよと言ってるんですね。しかしながら、ずっと県がというよりも、どちらの新聞社でしたが、あの大学の先生が、これに対価を払うと、水利権のですね売買に当たる可能性があるという、そういう記事を書かれた、大学の先生はそういうふうにおっしゃってるんすね。ですから、今言われたように、自然流下の場合はいいんですけれども、そうじゃなくて、例えば、許可水利権に食い込むような話になったときに対価を払うことがどうかっていうような意味合いにとりました。私は。そうすると、それはどういう場合と言われても、ちょっと県でなかなかお答えできなくて、そこはやっぱり専門家の先生方がその制度を作ったときに、これは法律上大丈夫なのかっていう判断する場に行くんかなと。御懸念はあろうかと思いますが、当事者に国土交通省が入ってるとしますね。ちょっと国土交通省は鉄道局じゃないんですけれども、水の管理、国土保全局ですか、ここが水利権の大本締めなんですね。ですから、そこがJRと、あるいはそういう対価のですね、やりとりをして、というようなスキームをですね、国土交通省が把握したときに、それが適法であるかどうかっていうのは、同じ省内にそれを明確に法的に判断できるところがありますのでね、今そのスキームが示されているわけではありませんし、また、県はその当事者ではありません。ですから県としては、その水が返ってくるという仕組みができれば、これはもう万々歳であると、ありがたいっていうことで、留めておくので良いのではないかなと。例えば、水利権の問題に関わるとなると、それが対価を払うJR側と対価をいただくどこかとすると、それと国土交通省の問題が当事者になりますので、そこで法的な判断をしていただければいいのかなと。ただ、県がというよりもですね、知事がというよりも、それはやっぱりどちらの社でしたか、やはり大学の先生が、それはちょっと組み方によっては、そういう問題もありますよという御指摘がありましたので、その点に言及されたんだと思います。これは制度スキームでそこら辺のところは、上手くやってくれるんじゃないかなと。法に触れないようにっていうふうに思っております。
(記者)
そうするとその制度スキームが法に触れないかどうかってことを確認する作業っていうのは、県の専門部会でやる考えは全くないというこですか。
(職員)
県の専門部会でやるっていうよりも、県の方は、水がそういうスキームを作っていていただいて戻ってくる、ということは県にとって何もデメリットありませんね。だけど、水利権を、要するに、何か対価で売買するような形のスキームを作って問題になるのは、やはり、そのJRとか東京電力とか国土交通省そのものなんですね。なぜかと言いますと、例えば私、企業局の次長やってました。これは10年に1回水利権の許可をもらうって大変なんですね。やっぱり企業局ってのは、工業水道もどんどん水の量が落ちてますので、国土交通省はその分の水はお返しって、言うような、やっぱり指導を受けるわけです。確かに工業用水道はどんどん減ってるじゃないですか。そうすれば水利権はその分返ってくるんですね。10年ごとに。ですから、やはりその指導は適切だと思います。水利権の。そうすると、今回の場合もそういう法に触れるかどうかは、まさに当事者の中で、その当事者、その利害関係にある当事者の中で話をして、法的にどういうふうに考えるかということですから、当然、国土交通省は、ここ水利権を所管している部局を持ってるわけですから、それは違法ことをするわけじゃないと思いますので、その辺は私は安心を、個人的にはしております。
(記者)
個人的にしてるのかどうかはいいんですけども、田代ダム案が提案された県の専門部会の方で、これが法的にもクリアとなって、実施できるってことを確認するのが、議論の筋のような気も思うんですけれど。
(職員)
そこはちょっと私もすいません。この問題をですねやってるわけじゃないんですけれども、つまりそれって言えるのかなってことなんですよね。専門部会で。
(記者)
最終的に言えるかどうかじゃなくて、専門部会として、この現状、東電とJRで、まとまったその中のスキームが問題ないっていうことを国交省でもJRでもしっかりと説明するっていう審査が必要じゃないかってことですか。
(職員)
というかですね、今、言いましたように、そこに国土交通省が仲介役というか、行司役に入っていて、国土交通省そのものが水利権を所管しているわけです。そうしますと、県の専門部会に対して何らかっていう前に、そのスキームを決めるときには、国土交通省のチェックが入るんじゃないでしょうかね、やっぱり。そうしますとね、そうしますと、県の専門部会で何かこのスキームは法律上問題があるっていう議論を先に先行してやるかっていうと、そういう場面は、ちょっとリアルに考えてないんじゃないかっていう気がするんですよ。当然そこでスキームを作るときは国土交通省はメインでしょうから、水利権の問題ですので、それはだって、そういうものを出したら、また県内だとか、利水者の皆さんだとか、結局、あるいは全国の水利権を担当してる方からですね、本当は、例えば工業水道だってもう1回企業立地して戻せるかもしれないと。そうじゃなくて、ここに据え置いて欲しいっていう気持ちはあるんですけど、実際、落ちてるのこの水の量をみて国土交通省が認可されてるんですね。ですから、水利権で何とか全国のですね、産業用だけじゃなくて、その生活用水も含めて、全国の国民全体に関わっている問題なんですね。そこで例外を作れるかっていうと、なかなか作れないのではと思ってます。だから、県の専門部会に下りてくる前に、そういう法的な問題は当然しっかり国土交通省なりがチェックしていただいて、適法なものが出てくるのではというふうに考えております。
(記者)
そうなると、先ほど冒頭知事がおっしゃった水利権に関するグレーだといっている発言と矛盾してないですか。
(職員)
いや、矛盾しないと思いますよ。それはどちらの新聞社さんでしたか、ちゃんと専門家の方が、そのスキームの組み立て方によっては、水利権を禁止されている河川法上、水利権の売買にあたってしまう場合もありますよ、っていう記事がありましたよね。ですから、それを懸念しているわけで、そういうことがないように。だけど、今、ここまで持ってきて、当然そこには国交省が水利権者として、水利権を所管してるところとしてチェックするでしょうから、今、記者さんも質問されてますけど、記者さんも多分、記者さん書いていただいたあの立派な記事を読みますとね、多分、記者さん自身も懸念を持たれてると思うんですけれども、そこはやっぱり、そこをしっかりみる機関がちゃんとあるというようなことです。懸念を抱くのは当然、知事もそうでしょうし、われわれも記者さんも、これに関わってる人はみんな懸念抱きますけど、だけど法的な、その解釈権限っていうのを持ったところがしっかりそこに当事者として入ってますので、上がってくるときにはスキームが適法なものが上がってくると。懸念を表明してるってのは大事じゃないですか。それでなければ、そのまま行ってしまうかもしれませんし、ですから、だからこそ知事も発言しますし、新聞社もああいう識者の見解をこういう場合はちょっと懸念があるというのを記事にしていただいたんじゃないでしょうか。
(記者)
わかりました。ごめんなさい、もう1点知事にお伺いしたいことがあります。
(知事)
法律を担当していただいてる天野参事でした。
(記者)
あと国の有識者会議の生態系の保全の話なんですけども、先日、報告書案の修正版が出まして、そこには県が11月1日に出した意見書が反映されてるとみられる修正箇所なんかも見受けられまして、例えば、トンネル掘削前の状況を秋だけじゃなくて、年変動も含めて把握するっていう表現だとか、あと、物理的環境の影響を受けやすいと考えられる生物群の検討を行うっていうようなことも、修正とか加筆されていまして、ここら辺は11月1日に県が出した生態系に対する影響も事前に調べてくださいよっていうところの意見を反映してるかと思うんですけども、知事の考えとしては、こういった考え方の反映だけじゃなくて、具体的にどういった生物群が影響を受けるのかっていうところまで、国の方の有識者会議で議論して欲しいっていうことをおっしゃってるですか。
(知事)
もともとそういうことを議論していただくための有識者会議だったと認識しております。
(記者)
県の考え方を反映した報告書ができて、それでまたあの県の専門部会で議論を再開するとなると、ある程度、県の考え方に則した議論になるという利点もあるかと思うんですけども、それでは駄目だということなんですか。
(知事)
ともかくその都度ですね、うちの本部長が専門部会の見解を踏まえて、有識者会議に意見を出してるわけですね。これが無視される場合も、今回のようにある程度概論の形で取り入れていただいてる場合もありますので、有識者会議として最大限、今できることがここまでだということでありますので、われわれとしては残されている論点を、専門部会で議論するという仕事が残されているということです。
(記者)
残されてるんですけど、これ先日の森副知事は、その議論の継続を国有識者会議での継続を求めたんですけども、それは違う言い方をすれば、この今の状況、報告書案の内容で、県の専門部会に議論が返ってくると、なかなかまた議論が県とJRの間で議論が進まないっていう懸念が、また現段階でも生じているっていうことでしょうか。
(知事)
そういうことですね。そういうことです。
(幹事社)
ありがとうございます。そのほか。
(記者)
中日新聞です。今の生態系の話に関連してなんですが、生態系の有識者会議の議論を聞いていると、県の立場としては、生物の影響予測や調査が不足しているというお立場だと思うんですが、有識者会議の議論を聞いていると、そういった新たに調査をするとなると、5年以上、時間がかなりかかったりとか、そもそも上流部の調査をするのに安全性が確保できないとか、そういった難しさも説明していると思うんですが、そういった県の予測だとか調査に対する調査に関する制限というか限界というか、そういうことがあるということは、知事はどうお考えですか。
(知事)
そういうところを相手にしているということですね。何しろ標高1540mのところに工事現場を置いて、そこで仕事をするんですから。ですから極めて厳しい自然環境の中で仕事をすると。そこに息づいている生物にどういう影響を与えるかということについてもですね、かなり専門的に御存知の方もいらっしゃるわけです。その方たちの御懸念というのは、やっぱり尊重しなくちゃいけないと。なぜかと、いわば南アルプスの生物群に成り代わって、これはどうなんですかというふうにおっしゃってるわけですから。ですから、問題は個別具体的なわけです。調査が難しいから、もうこのあたりでやめたらいいではないかというふうなことはできません。
(記者)
危険なところを相手にしていると調査が難しいから、まるっきり行わないことは、おかしいとは思うんですが、もうJRはいろいろ調査もされていたりとか、する中で、その命を賭して、まだ調査が必要というお考えなんでしょうか。
(知事)
とにかく山小屋もですね、二軒小屋も、10月から連休までは閉じられるわけですね。ですから、それ以外の時に調査しなくちゃいけないと、そういうところを相手にしてるわけです。しかし生態系にダメージが与えられるとですね、取り返しがつきませんから、そういうことのないようにするのは事業者の責務だと思います。
(記者)
ちょっと意見に近いんですが、県として影響予測や調査が不十分だとは言うんですが、もう少しどこの調査をだとか、こんな生物をして調査してほしいだとかそういったことを具体的に、県の方から示すことも必要なんじゃないかなと自分は思うんですが、その意見についてはどうでしょうか。
(知事)
示されてると思いますよ。
(記者)
十分に示されているとお考えですか。
(知事)
示されてると思います。専門家がいますから。
(記者)
わかりました。じゃあ、もう1個だけ。知事は度々、ユネスコ・エコパークの保全を、国際的な責任だとか、国際公約だというふうにおっしゃると、おっしゃってると思うんですが、ユネスコ・エコパークの理念もいろいろ一応確認したりするとユネスコ・エコパークは何かというと、自然を厳格に保護することが主目的の世界自然遺産とは別で、人間の干渉を含む生態系の保全と社会経済活動の両立を目指す地域だというふうに、理念を掲げられてると思うんですが、知事、保全だけを強調するのは違うんじゃないかと思うんですが、それはどうですか。
(知事)
ともあれ南アルプスがですね、本州の中で、3000m級の生物が最も多様に分布しているところであるということが、そういう自然条件がなければ、エコパーク、これバイオスフィアリザーブというのが、正式な名称ですから、認定されなかったと思いますね。そしてまた、仮にその人間の活動によって守られてるっていうか、守るという形での活動ではなくて、それを破壊するという活動であれば、10年ごとだと思いますが、あと2年後(正しくは、「1年後」)にですね、チェックが入るわけです。ですから、当然、今回は仮にトンネル掘った場合にどうなるかということについての意見がですね、論点になるのではないかと思います。というのは、ユネスコ・エコパークに認定されたのは、2014年だったかと思いますけども、環境大臣意見が出たのは2011年ぐらいだったかと思います。すなわち、エコパークに認定される前ですね。しかしエコパーク認定されることを前提にして、この地域の環境を保全するというのが環境行政の使命であると言ってるわけです。ですからエコパークと、その自然環境の保全というのがですね、環境省として不可分のものというふうに認識してるということではないでしょうか。
(幹事社)
ありがとうございます。その他質問ありますでしょうか。それではその他の質問に移ろうと思いますが、他に質問がある方はいらっしゃいますか。 |